スノークラブの社会解析

マスマーケターが社会事象に対して大雑把に考えを書いていきます。

【藤井四段】連勝ストップしたけど将棋界の記録にまだまだ挑めそうな話

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①藤井四段と佐々木五段の熱戦

藤井聡太四段の連勝記録がついにストップしてしまいましたね。30連勝目前にしてあと一歩というところでしたが、14歳という年齢にして本当にすごい記録を作ったと思います。今回勝った佐々木勇気五段は、イケメンやスイス生まれということも注目されていますが、竜王戦の決勝トーナメントへの出場者が決まった段階で、佐々木五段は藤井四段の対局も見学するなどして、前もって研究を積んでいたとのこと。以前の記事で藤井四段の強さの一因として、対戦相手は藤井四段と初めて対局することでその手筋を経験していことによる未知の部分が多くなってきて負けてしまうことも考えられると書きました。今回の佐々木五段は、過去に藤井四段との対局もある上に、しっかりと最新の動向まで含め藤井四段の研究を行い、更に先手番で自身が得意とする形を作ることにより、未知の部分のアドバンテージ要素を削ることで、押し切った勝利でした。

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実際の試合は合掛かりから、合横歩取りという、定石も少なく実力が必要な力戦の展開に積極的に持っていって序盤、中盤、終盤も佐々木五段が冷静に差し切り、藤井四段は様々な惑わすような手を打ち、形成を逆転しようとしていましたが、力及ばずといった展開でした。

佐々木五段は昨年の最多対局数(65局)を指した棋士であり、羽生三冠や渡辺竜王にも勝っており、勝率も高い若手のホープですので元々の地力も相当なところで、それに加えて藤井四段対策を万全にしたことが今回の勝利に繋がったのでしょうちなみに佐々木五段は次の六段昇段まで、今回の勝利であと「2勝」になりましたので、近いうちに佐々木六段に昇格することは固いかと。今後の佐々木五段の動向(特に竜王戦)も気になるな〜。

 

残念ながら連勝が止まってしまった藤井四段ですが前人未踏の大記録作ったことに間違いはないので、気持ちを切り替えてこれからの活躍に期待します。個人的には今年の竜王になるチャンスが無くなってしまったのは寂しいですが、並み居る強豪を倒してタイトルの中でも最高峰の竜王戦の決勝トーナメントという大舞台に出場しただけでも、とても大きな価値かと。将棋の最も強い駒である「飛車」が成って更に強く成ったのが「竜王」。その名称を冠して、優勝賞金も4320万円と最も高く、名人位と並んで(またはそれ以上の価値をもって)権威があり、いわば将棋世界の最高峰のタイトルとも言えるので、藤井四段には次回も負けずに挑んで欲しいです。(竜王戦の予選であるランキング戦の組も6組を優勝したので、次回からは5組に上がります)
ただし、後述のようにまだまだタイトルや記録のチャンスはあるので今後も目が離せません。

※余談ですが、竜王戦の6組にはアマチュアの枠がなんと5枠もあります。並み居るプロ棋士達相手に、タイトル戦を戦えるのは竜王戦棋王戦だけで、アマでも勝ち進んで行けば竜王になることも不可能ではありません。(本気で将棋頑張ってみようかな←無謀)

 

②将棋界の各種記録と藤井四段が挑めそうな記録

さて、将棋界には様々な記録がありますが、日本将棋連盟がまとめている主な歴代ベスト記録には以下のものがあります。(敬称略)

 

◆年度勝数
 ⇨1位 羽生善治 68勝 (2000)
  2位 羽生善治 64勝 (1988)
  3位 森内俊之 63勝 (1991)


◆勝率記録
 ⇨1位 中原誠  85.45% ※47勝8敗  (1967)
  2位 中村太地 85.11% ※40勝7敗  (2011)
  3位 羽生善治 83.64% ※46勝9敗  (1995)


◆連勝記録
 ⇨1位 藤井聡太 29連勝 (2016〜2017)
  2位 神谷広志 28連勝 (1986〜1987)
  3位 丸山忠久 24勝  (1994)

 

◆タイトル獲得回数

 ⇨1位 羽生善治 97回獲得 (129回タイトル戦登場)
  2位 大山康晴 80回獲得 (112回登場)
  3位 中原誠  64回獲得 (91回登場)

 

◆同一タイトル通算獲得

 ⇨1位 羽生善治 24期 (王座)
  2位 大山康晴 20期 (王将)
  3位 大山康晴 18期 (名人)
     羽生善治 18期 (王位)

 

(4位以下の記録は下記参照)

www.shogi.or.jp

 

こうしてみると、羽生善治三冠の強さが際立ちますね。歴代の記録のほとんどに名前があり、未だに更新し続けているものもあります。永世タイトルなんかも羽生三冠が今年の竜王になれば7大タイトル全てで永世の称号を手に入れることになります。

藤井四段は既にこの大記録の中で「連勝記録歴代1位」を達成していますが、他にも「年度勝数」「勝率記録」なんかにもこのまま勝ちを重ねていくとランクインしていきそうな勢いです。特に勝率記録は現在1敗はしましたが、19勝1敗の勝率95%になっていますので、このペースを保ち続ければ、歴代一位の85.45%を超えてくる可能性もありそうです。(将棋の年度は4月〜3月なので4月以降の成績)

ただし、タイトルトーナメントなどは、勝ち進めば勝ち進むほど今回の佐々木五段のような強い相手と当たることになりますので、その時に藤井四段の真価が問われることに。まだ、来年の3月まで9ヶ月もありますので、長い道のりですが一つでも多くの記録に期待が寄せられています。

 

ちなみに、そのほかの記録としては、最速のタイトル獲得と、史上最年少のタイトル獲得も話題に上っています。いずれも現在A級でトッププロの屋敷九段がその記録を保持していますが、藤井四段はまだ14歳なので、最年少タイトル獲得まではまだ余裕があ流状況。ただし、最速でのタイトル獲得に関しては竜王戦に敗れたために、1年10ヶ月以内に取るために残すチャンスはあと4回となります。(2018年棋王戦、王将戦叡王戦棋聖戦

 

◆最速タイトル獲得者
 ⇨屋敷伸之 1年10ヶ月(プロ入後)

◆最年少タイトル獲得者
 ⇨屋敷伸之 18歳6ヶ月

 

これまでの対局を見ている限り、藤井四段の実力としてはA級棋士達に近いところまで来ている印象もありますので、このチャンスをものにして最速タイトル獲得者になる可能性もないとは言い切れないかな。

ちなみに、毎年度末に将棋連盟が「将棋大賞」として活躍した棋士達を表彰するのですが、少なくともそのうちの「新人賞」と呼ばれる選考で選ばれる部門には藤井聡太四段が、これだけの活躍ですから選ばれる確率が高いんじゃないかなと、個人的には予測。

いずれにせよ、全力で陰ながら応援しております!!!