スノークラブの社会解析

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藤井聡太四段おめでとう!いずれは打倒AIなのかな

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https://www.shogi.or.jp/player/pro/307.html

日本将棋連盟棋士データベースより)

 

①藤井四段無傷の29連勝で新記録を達成

6月26日の将棋竜王戦本戦トーナメントにおいて、藤井聡太四段が増田康宏四段に勝利し、デビューから29連勝を飾りました。これまでの最高が28連勝だったため、今回は歴史的勝利ということで、対局室や記者会見には大勢の報道陣が詰めかけ、各媒体では速報としてこの新記録を伝えました。

 私も先日のブログでも藤井四段の強さを記事にしましたが、今回の対決でも圧巻の中盤〜終盤力を発揮して、寄り切っていました。

social-insurance.hatenablog.com

 

実戦では、角換わりになりそうなところを、増田四段が角筋を止めて定石の型にはまらないような力戦を展開していきました。序盤ではやや増田四段が優勢と解説のプロ棋士や将棋ソフトでも判定が出ていたのですが、角と桂馬を利用して絶妙の手筋で王将に迫っていく将棋内容は、兎にも角にも観ている人の予想を超えるものでした。終盤になるにつれ、優位を固めていき最後は危なげない手筋で増田四段の反撃も振り切り勝利。力戦で勝つのは本当に実力のある証拠ですね。

羽生善治三冠をはじめとした、業界のトップ棋士達からも賞賛のコメントが出されており、今後はこうしたトップ棋士達との対局も楽しみになってきます。

 

②藤井四段の強さと今後の対戦

いやー、前回も書きましたが強いプロ棋士達の中で、29連勝という歴史的な勝利、しかも今回は竜王戦の本戦トーナメントということで、5組で勝ち上がってきた増田四段を倒しての勝利になりますから、本当に強いの一言です。

ちなみに増田四段も16歳でプロになっており、藤井四段が入って来る前は現役最年少でのプロ棋士であり、これまでのプロでの対戦成績も勝率7割を超えており、羽生三冠に続く勝率となっていました。そんな増田四段との力と力のぶつかり合いを制した、藤井四段の強さにはただただ驚くばかり。

 各方面の解説でも言われていますが、藤井四段は悪手(形成が一気に悪くなり敗北につながる手)をほとんど指さずに、最善手ばかりではないかもしれませんが、それに近い手を打ち続けていることも強さの要因となっています。14歳という年齢を考えると、自分が勝てそうな時には攻めることばかり考えて、受けが疎かにになりそうなものなのですが、彼は冷静に受けつつ勝ち切る姿勢が一貫してブレずに、トップの将棋ソフトの内容が全て頭に入っているようなダイナミックな将棋を指していますね。

さて、これで竜王戦の次戦では4組優勝の佐々木勇気五段になります。16歳1ヶ月という藤井四段と渡辺竜王に次ぐ史上3番目の速さ(現行三段リーグ制導入以降)でプロになっている佐々木五段は現在プロ5年目の若手のホープと目される存在で、7割近い勝率を誇っています。藤井四段がここに勝てば、あとは「1組」と呼ばれるトップ棋士達との戦いが待っています。

 

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日本将棋連盟より)

 

 

③業界のイノベーターとして

藤井四段のような業界の歴史を塗り替えていく存在は、それ自体が新しい風を吹き込んでニュースになるとともに業界の再活性化を促し、それまでの慣行や常識を覆していき新しい歴史を作っていくイノベーター的な存在です。世間においてここまで注目されるのは羽生善治三冠が次々とタイトルを獲得して行った時以来でしょうし、中学生でありながらその羽生三冠にも勝利し、今回新記録の29連勝を成し遂げた藤井四段は業界においても良い方向の変革のシンボルとして今後も注目され続けていくでしょう。仮に勝ち続けていってトッププロ相手でも敵なし状態になった時に、次にAIとの対戦も期待されてくるとは思いますが、現時点ではあまりAIとの対局は現実的な可能性としては考えていないようです。

個人的に対局を見ている限り、対人戦においてはその悪手の少なさ・驚異的な終盤力・冷静な受けと攻めのバランスをみる限り無類の強さを今後も発揮していくだろうなと思いつつ、ミスが限りなく少ないAIとの対局ではまだ勝ちきれないのかなとも思います。しかし、彼がまだまだ伸び代のある年齢だということと、プロでも予想しない創造的な手を繰り出せる棋士であることを考えると、もしかしたらトップAI相手にも勝ち越せる、そんな人間の可能性を感じることのできる棋士だと感じます。

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というわけで藤井四段、今回の新記録達成と竜王戦トーナメント勝利おめでとうございます。一人の将棋ファンとして今後の展開が楽しみすぎる。。